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キアシナガバチ(Polistes rothneyi)の分類 Eumenidae
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)の概要 Polistes

キアシナガバチ(Polistes rothneyi)

【 学名 】
Polistes rothneyi Cameron, 1900

基本情報

大きさ・重さ

成虫体長:20~26 ㎜
本種はセグロアシナガバチと並んで日本のアシナガバチでは最大である。

参考文献

最終更新日:2020-08-12 ひろりこん

活動時期

成虫出現時期(日本国内):4~10月

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分布

本州・四国・九州・大隅諸島・沖縄諸島・八重山諸島

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亜種

ssp. iwatai van der Vecht :日本本土から大隅諸島に分布する。
ssp. ingrami van der Vecht :沖縄諸島に分布する。暗色化が著しい。
ssp. yaeyamae Matsumura :八重山諸島に分布する。明るい黄色の斑紋が全身に広がる。

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人間との関係

アシナガバチ類は幼虫の食物としてチョウ・ガの幼虫など各種の昆虫を狩る益虫であるが、人を刺すこともある。女王バチが巣を守っている間は人に対する攻撃性はほとんどないが、働きバチの羽化後は巣を守る習性が発達し、刺激すると攻撃するようになる。

腹端に毒針を持ち、刺されても大抵の人は痛みと腫れだけで数日後に回復するが、蜂毒にアレルギー体質の人は血圧低下、発疹、吐き気など全身症状を呈し、2回目以降は死亡することもある。

巣に近づいたときの本種の威嚇行動は顕著で、相手に顔を向けながら巣上の個体が一斉に翅を斜め上方にあげ、体を細かく振動させる。この威嚇行動を無視してさらに近づくと刺しにくる。7~8月に草刈り、剪定などで巣を刺激して刺傷事故にあうことが多い。新女王バチが家屋の屋根裏などに集団越冬することもある。

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形態

成虫の形質

全身は黒色で、斑紋は鮮黄色。前伸腹節は幅広く、目立つ1対の縦斑があり、基側部は強く角ばる。第2腹背板の帯紋前方両側の斑紋はやや褐色ないし赤褐色。翅は半透明で黄色味を帯びる。頭はやや大きく、頬は発達し、背面から見て後方に狭まらない。雄の触角末端部はうちわ状に丸く広がり、扁平。

よく似たセグロアシナガバチ P. jokahamae とは、本種の雌では後頭隆起線がよく発達し大腮の基部に達すること、触角柄節から鞭節数節の上面が黒い(八重山の個体群でのみ明るい褐色)であることなどの特徴から区別できる。

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生態

成虫の生息環境

平地、低山地。

女王バチは人家の軒、木の枝、岩陰などに下垂した巣を作る。造巣場所は地表より 1~2 mにあることが多いが、5 m以上の木の枝にも巣があり、日本のアシナガバチではもっとも高所に営巣する。

女王巣の育房数は30~40房で、働きバチ羽化後の最終育房数は、寒冷地では50~100房にすぎないが、暖地では500房に達し、791房まで大型化した例もある。巣は灰色または灰褐色で、巣柄を中心に円形に発達し、中央部が傘状に盛り上がる。育房の直径 8~9 ㎜、深さ 25~80 ㎜。

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幼虫の食性

成虫が狩ったチョウ目幼虫など。成虫は幼虫の頭を切って体内の不必要なものをしごきだし、肉だけを団子にして幼虫に与える。

参考文献

  • 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .

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ライフサイクル

越冬から目覚めた女王バチは、本州以南では4月上旬に出現し、営巣をはじめる。5月中から下旬に働きバチが羽化する。雄バチ、新女王バチは7月中旬から9月上旬に羽化する。

出現した雄、新女王は巣上に10月下旬ごろまで長期間とどまり、10月下旬から11月上旬にかけ、晴天の日、巣を離れ交尾する。交尾後の新女王は、瓦の下や屋根裏、板塀の浦などで集団越冬する。

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産卵

幼虫が繭を紡ぐと、女王は同じ育房の上端に卵を産み付けるので、一つの育房で同時に繭と卵または幼虫が共存する状態が見られる。

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特徴的な行動

風化した材木の表面から削り取った靭皮繊維を、粘り気のある唾液でこね合わせて和紙のような材質にして、巣の材料にする。

参考文献

  • 2012 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他 - 書籍全体, 鈴木欣司、鈴木悦子(著) 昆虫好きの生態観察図鑑Ⅱ コウチュウ・ハチ・カメムシ他. 緑書房. .

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種・分類一覧