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Trypoxylus dichotomusの分類 Dynastidae
Trypoxylus dichotomusの概要 Trypoxylus

Trypoxylus dichotomus

【 学名 】
Trypoxylus dichotomus (Linnaeus, 1771)

基本情報

大きさ・重さ

雄: 26.3~91.7 ㎜ 
雌: 33~53 ㎜

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最終更新日:2020-05-26 瀬戸内味わいにぼし

活動時期

6月中旬から8月

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分布

T. d. septentrionalis Kôno, 1931:北海道(移入)、本州、佐渡島、粟島、飛島、淡路島、隠岐、見島、四国、九州、対馬、壱岐、五島列島、甑島列島
T. d. tsuchiyai (Nagai, 2006):大隅諸島口永良部島
T. d. takarai (Kusui, 1976):沖縄諸島(伊平屋島、沖縄島、瀬底島、伊江島)
T. d. inchachina(Kusui,1976):久米島
T. d. shizuae Adachi, 2017:種子島、屋久島
T. d. dichotomus (Linnaeus, 1771):朝鮮半島、中国
T. d. tsunobosonis Kôno, 1931:台湾
T. d. politus Prell, 1934:タイ

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生息状況

T. d. inchachina:絶滅危惧Ⅱ類(沖縄県レッドデータブック)
個体数は多くないと考えられる。沖縄島亜種が生息する沖縄島北部の森林と比較して、本亜種の生息する久米島は沢沿いでも下草が少なく、林内は比較的乾燥した場所が多い。
また、樹洞のあるような大木も非常に少なく、沖縄島亜種以上に厳しい現状にあると考えられる。
開墾や開発に伴う伐採等の森林改変、林内施業による下草刈りによる林内の乾燥化が脅威となっている。

T. d. takarai:準絶滅危惧(沖縄県レッドデータブック)
沖縄島では、中部から北部地域にかけての森林に生息するが、中部や本部半島では分布は局所的で個体数も少ない。
伊平屋島、瀬底島、伊江島では採集記録が少なく、個体数は非常に少ないと推察される。
森林伐採、ダムやゴルフ場建設のほか、中部地域での丘陵地の林や御嶽林の開発によって生息場所が狭められており、個体数は減少している。
また、ペット用に移入された日本本土亜種が野外で繁殖している可能性も示唆されており、それらとの交雑や競合などによる本亜種の衰退が懸念される。

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和名の解説

発達した雄の頭角が兜の前立に似ていることから。

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亜種

T. d. septentrionalis Kôno, 1931:日本本土亜種
T. d. tsuchiyai (Nagai, 2006):口永良部島亜種
雄の頭角が短く、胸角が細い傾向があるが、日本本土亜種との違いは軽微。
T. d. takarai (Kusui, 1976):沖縄亜種
総じて日本本土亜種に比べやや小型で幅広く、黒味が強い傾向にある。
また、雄では上翅の光沢がやや強く、頭角と胸角は体長に比して小さい。
T. d. inchachina(Kusui,1976):久米島亜種
沖縄亜種よりも雄の頭角が細く未発達の傾向があるが、沖縄亜種との違いは不明瞭である。
T. d. shizuae Adachi, 2017:種子島、屋久島亜種
T. d. dichotomus (Linnaeus, 1771):原名亜種
T. d. tsunobosonis Kôno, 1931:ツノボソカブト
T. d. politus Prell, 1934:ツヤカブト

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別名・流通名・方言名

サイカチムシ:関東地方南部。サイカチの樹液を好むことから。

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人間との関係

日本では1960年代ごろからカブトムシが人気になってきて、1968年にはデパートで販売されていた。
1971年発行の新動植物国宝図案切手、12円普通切手にデザインされた。

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形態

成虫の形質

赤褐色から黒褐色。


やや光沢があるが、前胸背板では鈍い。
頭角は長く、中~大型個体では前胸背板の長さより長い。そのY字に分岐した先端は、通常さらにもう一度2又するため尖端は4つとなる。
しかし変異が多く、小型の雄では頭角自体が前胸背板より短く、その先端は一度分岐するのみで小さい。
雄の胸角は短く、通常頭角の3分の1程度の長さで、分岐した先端はとがる。


暗褐色の個体が多く、全身を微毛で覆われ光沢は鈍い。
頭部には小突起があり、前胸背板の中央に縦溝を備えることが多い。

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生態

成虫の生息環境

二次林や里山環境に多く生息。

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幼虫の生息環境

主に森林内の朽木や腐葉土。
製材所のおが屑溜まりや畑に積まれた堆肥、休耕田に放置された藁くず、廃棄された畳でも発生することがある。

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成虫の食性

クヌギやコナラなど、ブナ科の樹液。

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幼虫の食性

腐葉土やかなり腐朽した朽木。

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成虫の天敵

フクロウ

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ライフサイクル

成虫は年1化。

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活動時間帯

主に夜間

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特徴的な行動

トネリコ(Fraxinus japonica)の樹皮に傷をつけて樹液をなめる行動が観察されている。

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関連情報

研究されているテーマ

「なぜカブトムシの角は蛹で突然出現できるのか(2017)」
名古屋大学大学院生命農学研究科の後藤寛貴特任教授らの研究グループは、巨大なカブトムシの角が、幼虫から蛹になる際に短時間で現れる仕組みを研究し、カブトムシは角を「小さく折りたたんだ状態」で形成しておき、脱皮時にそれを「一気に展開」するという二段階のステップにより角を作っていることをコンピューターシミュレーションを用いて実験的に示した。

「カブトムシの角(ツノ)にオスとメスとの違いが現れる時期の特定に成功(2019) 」
基礎生物学研究所の森田慎一研究員と新美輝幸教授らの共同研究チームは、カブトムシのメスをオスにする遺伝子を同定することで、角の性差(オスとメスの違い)が現れる時期の特定に成功した。

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外来種としての影響

国内において北海道にはもともと生息していなかったが、人為的に持ち込まれ、1936年に初確認され、1970年代には定着したと推測されている。
北海道内の外来種情報を取り扱う北海道ブルーリスト(北海道 2010)によると、これまでは十勝川以北で生息が確認されていたが、2012年に行われた調査の結果から、十勝川以南である帯広市にも分布を拡大させ、すでに定着していると考えられる。

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種・分類一覧