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オオカマキリ(Tenodera sinensis)の分類 カマキリ科(Mantidae)
オオカマキリ(Tenodera sinensis)の概要 オオカマキリ属(Tenodera)

オオカマキリ(Tenodera sinensis)

【 学名 】
Tenodera sinensis Saussure, 1871

基本情報

大きさ・重さ

成虫体長:雄 68〜90 mm, 雌 75〜95 mm

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 202.

最終更新日:2020-06-17

活動時期

8月末〜11月

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 202.

最終更新日:2020-06-17

分布

北海道・本州・四国・九州・対馬・屋久島。国外では朝鮮半島南部および中国に分布。

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 202.

最終更新日:2020-06-17

分類学的位置付け

昆虫綱 カマキリ目 カマキリ科 カマキリ亜科 オオカマキリ属 オオカマキリ

参考文献

  • 中峰空 2016 カマキリ科 Mantidaeの検索表, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 200.
  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 202.

最終更新日:2020-06-17

形態

成虫の形質

大型で、緑色型と褐色型があるが、雄は褐色型がほとんどで緑色型は稀である。
チョウセンカマキリと似ているが、本種は後翅の基部近くに大きな紫褐色斑があること、および前基節基部間の色が淡黄色になることで区別できる。

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 202.
  • 岡田正哉 1992 オオカマキリ, 宮武頼夫、加納康嗣(編) 検索入門 セミ・バッタ. 保育社. 152~153.

最終更新日:2020-06-17

卵の形質

卵嚢は卵型で、スポンジ状の部分に厚く覆われる。1つの卵嚢には100〜300個の卵が含まれる。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96~97.

最終更新日:2020-06-17

似ている種 (間違えやすい種)

チョウセンカマキリ

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 97.

最終更新日:2020-06-17

生態

成虫の生息環境

基本的に林縁などに生息し、クズの繁茂するマント群落でもよく見られる。広い草原のような開放的な環境は好まない。

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 202.
  • 岡田正哉 1992 オオカマキリ, 宮武頼夫、加納康嗣(編) 検索入門 セミ・バッタ. 保育社. 153.

最終更新日:2020-06-17

成虫の食性

主に生きている昆虫類 (ハエ目、チョウ目、バッタ目が多い) を捕食するが、小型のヘビやカエル、鳥を捕食することもある。適度な大きさの動く物体ならどんなものでも餌として認識して捕食する。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.
  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 203.
  • 岡田正哉 1992 オオカマキリ, 宮武頼夫、加納康嗣(編) 検索入門 セミ・バッタ. 保育社. 153.

最終更新日:2020-06-17

幼虫の食性

初期の幼虫では特にハエ目の昆虫を捕食する割合が高い傾向にある。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.

最終更新日:2020-06-17

成虫の天敵

よくハリガネムシが寄生する。

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 203.

最終更新日:2020-06-17

幼虫の天敵

徘徊性のクモ類やアリ類による捕食が多い。トカゲ類や鳥類による捕食も考えられるが、どの程度影響があるかについては調べられていない。またカマキリヤドリバエに寄生されることがある。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.

最終更新日:2020-06-17

ライフサイクル

年1化。卵で越冬し、4月中旬〜6月初旬にかけて孵化する。6齢か7齢を経て、8月下旬に成虫が羽化する。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.
  • 岡田正哉 1992 オオカマキリ, 宮武頼夫、加納康嗣(編) 検索入門 セミ・バッタ. 保育社. 153.

最終更新日:2020-06-17

孵化・脱皮・羽化

卵は4月中旬〜6月初旬に、2〜3回に分けて孵化する。早朝に孵化することが多い。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.

最終更新日:2020-06-17

生殖行動

交尾は9月後半から11月前半まで観察される。交尾行動は雄による雌へのマウント、交尾器の挿入、精包の受け渡し、という順序で進行し、マウント時間は平均約4時間である。
交尾中に雌が雄を食べてしまう話がよく知られているが、必ずこうなるというわけではない。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 97.
  • 山崎柄根 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 95.

最終更新日:2020-06-17

産卵

雌は草の茎などを包み込むようにして卵嚢を産み付ける。産みつけられる卵嚢の数は野外では1〜3個と推定されている。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 97.

最終更新日:2020-06-17

特徴的な行動

獲物を視界に捉えると、頭部をその方向に向け、体全体を揺らしながらゆっくりと獲物に近づき、射程圏内に入ると鎌状になった前脚で獲物を捕らえる。
危険が近づくと、前胸をそらし、前脚を広げ、前・後翅を背上に立てて、腹部を左右に揺らすという威嚇姿勢をとることがある。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.
  • 岡田正哉 1992 オオカマキリ, 宮武頼夫、加納康嗣(編) 検索入門 セミ・バッタ. 保育社. 153.

最終更新日:2020-06-17

その他生態

卵の天敵としては、カマキリタマゴカツオブシムシやオナガアシブトコバチが卵に寄生するほか、ルリアリやヒメアリなどのアリ類が孵化直前の卵嚢をおそうことがある。

参考文献

  • 岩崎拓 1996 カマキリ類, 日高敏隆(監修) 石井実、大谷剛、常喜豊(編) 日本動物大百科8:昆虫Ⅰ. 平凡社. 96.

最終更新日:2020-06-17

関連情報

研究されているテーマ

オオカマキリはその年の積雪量を予測し、雪に埋もれない高さに卵嚢を産付するため、オオカマキリの卵嚢が産付する高さでその年の積雪量が予測できる、という俗説が広まったことがある。しかし、弘前大学名誉教授の安藤喜一博士による詳細な観察と実験により、雪に埋もれた卵嚢の孵化率が埋れていない卵嚢と変わらないこと、また弘前市の調査で約96%の卵嚢が雪の中で越冬することが明らかになった。これらの事実から、オオカマキリが積雪量を予測しているという説は現在では完全に否定されている。

参考文献

  • 中峰空 2016 オオカマキリ, 日本直翅類学会(編) 日本産直翅類標準図鑑. 学研プラス. 203.

最終更新日:2020-06-17

種・分類一覧